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2026.10.25

【酒田のお土産】おしゃれなお菓子「分福ベイク」|燃料店が7年かけた大根入りクッキー

「えっ、このクッキーに大根が入っているんですか?」

酒田市生まれのクッキー「分福(ぶんぶく)ベイク」。その原材料を知ると、思わず驚いてしまうかもしれません。

シナモンとジンジャーの豊かな香りに、くるみの香ばしさが重なる「くるみ&スパイス」。しっとりやわらかな独特の食感を生み出しているのは、実は庄内産の規格外大根です。

製品の約25%に大根を使用し、その素材が持つ特性を生かすことで、ほかにはない味わいに仕上げています。

作っているのは、お菓子屋さんではありません。酒田港の近くで灯油やプロパンガスを扱う燃料店「本竹(ほんたけ)商店」です。

「規格外野菜を使ったフードロス対策のお菓子」と聞くと、わかった気になってしまうかもしれません。でも、分福ベイクの面白さはその先にあります。

今回、こちらの記事を書くにあたり分福ベイクを手がける本間圭輔さんに直接聞きその情報を盛り込み作成しました。

「フードロス対策だけではない」という商品づくりへの思いから、7年間の開発秘話、おすすめの食べ方、そして酒田の未来への願いまで。

本間さんご本人の言葉を交えながら、分福ベイクの魅力を紹介します。

酒田でおしゃれなお土産やお菓子を探している方は、ぜひ参考にしてください。


30秒でわかる!分福ベイク

項目内容
ブランド分福ベイク(ぶんぶくベイク)
製造・販売本竹商店(酒田市の燃料店)
所在地山形県酒田市船場町1-6-8
オンラインショップ開設2024年1月
種類R(Reform)シリーズ4種+L(Local)シリーズ3種=全7種類
特徴規格外大根・果物の搾りかす・県産素材などを活用したクッキー
添加物自社製造工程内で食品添加物・食品品質保持剤を不使用
価格の目安お試し7種アソート693円/Rシリーズ4種アソート30枚入り2,484円
賞味期限製造日から最長120日
受賞おいしいギフトアワード2025 パッケージ部門 銅賞
購入方法公式通販・山形直送計画・酒田市ふるさと納税・本竹商店での直接受け取りなど

※送料や販売状況は購入先によって異なります。賞味期限は商品や詰め合わせ内容によって変わるため、購入時にご確認ください。

酒田のお土産に分福ベイクを選びたい3つの理由

酒田のお土産といえば、海産物や地酒、酒田ラーメンなどが定番です。

その中で、分福ベイクをお菓子のお土産としておすすめしたい理由は3つあります。

1. お土産に込められたストーリー

お土産は、渡したときのひと言まで含めて楽しいもの。

分福ベイクには、一般的なお菓子のお土産とは少し違った、誰かに話したくなるストーリーがあります。

「これ、実は大根が約25%も使われているんだよ」

「りんごジュースを搾ったあとの素材も、お菓子に生かしているんだって」

そんな会話が自然と生まれることも魅力の一つです。

規格外の野菜や果物の搾りかすを、ただ再利用するのではなく、それぞれの素材が持つ特性を生かして、おいしいクッキーに仕上げています。

今回の取材で本間さんに購入者の反応を尋ねたところ、味や食感だけでなく、商品開発の背景に共感する方も多いと教えてくれました。

なかには、素材の力を生かして商品を作り上げたストーリーを知り、感動して涙を流したお客様もいたそうです。

また、普段のおやつとして購入するリピーターに加え、イベントでの配布や季節の贈り物として利用されるケースも多いとのこと。

おいしさを楽しむだけでなく、その背景にある物語まで誰かと分かち合える。

そんな特別感が、分福ベイクをお土産におすすめしたい理由の一つです。

2. 見た目がおしゃれで、贈り物にもぴったり

パッケージのイラストは、酒田市在住のデザイナー・rikkoさんによるもの。

お取り寄せ情報サイト「おとりよせネット」が開催した「おいしいギフトアワード2025」では、分福ベイクの化粧箱入り6種セットがパッケージ部門で銅賞を受賞しました。

しかし、このデザインには、見た目のかわいらしさだけではない理由があります。

暮らしの中に飾りたくなるパッケージ

今回、本間さんにデザインへのこだわりを尋ねたところ、一般的なお菓子のパッケージとは少し違う考え方がありました。

重視したのは、店頭で目立つことよりも「購入したあと、暮らしの中でどう使われるか」。

家に置いてある時間や、誰かと一緒に食べる空間にも自然に馴染むよう、アート作品のようなかわいらしいイラストを中心にデザインしたそうです。

rikkoさんを起用したのも、子育て世代からの支持が厚く、分福ベイクが目指す温かい世界観に合っていたから。

さらに、パッケージですべてを説明しきらないことにも意味があります。

「このイラスト、かわいいね」

「実はこれ、大根が入っているんだよ」

そんな会話が自然と生まれることを目指しているのです。

贈る相手との会話まで考えて作られたパッケージ。

「お福分け」というブランド名に込められた思いが、デザインにも表れています。

3. 日持ちして、常温で持ち帰れる

分福ベイクの賞味期限は、製造日から最長120日。

生菓子のように冷蔵で持ち歩く必要がなく、旅行のお土産や帰省時の手土産にも選びやすい焼き菓子です。

ただし、購入時点で120日間残っているという意味ではありません。公式通販では、発送時点で賞味期限が60日以上残っている商品を届けると案内しています。

また、分福ベイクでは自社の製造工程内で食品添加物や食品品質保持剤を使用せず、独自の製法によって品質の維持を目指しています。

なぜ、しっとりしたクッキーで長い賞味期限を実現できたのか。

その理由は、記事の後半で紹介します。


「フードロス対策のお菓子」ではない?本間さんが語る本当のこだわり

分福ベイクは、規格外の大根や、ジュースを搾ったあとの果物の搾りかすなどを原料に使っています。

ここだけ聞くと「捨てられる食材を救うお菓子」という印象を受けるかもしれません。

しかし、本竹商店の考え方は少し違います。

「フードロス対策|それだけではないお菓子です」

本記事を書くにあたり本間さんに「フードロス対策のお菓子と紹介されたとき、本当はもう一言付け加えたいことはありますか?」と尋ねました。

その答えは、分福ベイクの商品づくりを象徴するものでした。

「フードロス対策」という切り口で興味を持っていただけるのも大変ありがたいことですが、もし一言付け加えられるなら「それだけではないお菓子です」とお伝えしたいです。

本間さんが目指したのは、環境への配慮だけを評価される商品ではありません。

おいしさ、健康や安心感、地域性、手に取りやすい価格、そしてパッケージデザイン。

それぞれを高い水準で成立させることにこだわったといいます。

「フードロス対策だから」という理由で選んでもらうことは、もちろんうれしい。

けれど、それだけでなく、どんなきっかけで商品を知った人にも、総合的な品質で満足してもらえるものを作りたい。

そんな思いが、分福ベイクには込められています。

農業県・山形だからこそ生まれる未利用資源

山形県は全国有数の農業県です。

分福ベイクの公式サイトでは、令和元年度の調査に基づき、山形県のカロリーベース食料自給率を140%、全国3位と紹介しています。

農業生産が盛んな地域では、形や大きさなどが出荷規格に合わない作物も生まれます。

形が悪い、傷がある、育ちすぎた、小さすぎる。

一般的な流通に乗せにくい農産物がある一方で、規格外品のすべてが正規品と同じ品質というわけではありません。

本間さんは、規格外作物について、農業現場と消費者の間にイメージの違いがあると話します。

「形が悪いだけで味は正規品と同じ」と思われがちですが、実際には食味が劣るものや傷みやすいものも発生するそうです。

そのため、規格外の原料を安全かつ均一な品質でお菓子に使用するには、想像以上の手間と技術が必要になります。

生産者とともに、未利用資源の新しい価値を探す

分福ベイクの開発当初、本間さんは生産者のネットワークを通じて、活用できる未利用食材を探していました。

さまざまな食材で試作を重ね、その中から商品として高い品質を実現できたものを製品化してきたそうです。

発売後には、生産者側から「うちの食材も活用できないか」と相談される機会も増えました。

現在の仕入れ先には、農園貞太郎や産直あぐりなどがあり、本間さんは大切なパートナーだと話します。

※農産物の収穫時期や収穫量によって、仕入れ先や供給体制は変わる場合があります。

近年は、規格外作物を何かに活用できないかと考える生産者も増えているといいます。

しかし、個々の農家が加工技術や販売手段を確保することは簡単ではありません。

本間さんは、分福ベイクがそうした未利用資源の受け皿や、活用手段の一つになれればと考えています。

規格外の大根は、単なる救済の対象ではなく、山形ならではの材料。

分福ベイクは、生産が盛んな地域だからこそ生まれる未利用資源を、新しい「おいしさ」に変えたお菓子なのです。


全7種類を紹介|話のネタになる「R」、素材を楽しむ「L」

分福ベイクには、食感もコンセプトも異なる2つのシリーズがあります。

  • R(Reform/リフォルム)シリーズ:規格外野菜や果物の搾りかすなどを活用した、しっとりやわらかな「やわ焼きクッキー」
  • L(Local/ローカル)シリーズ:山形県産素材などを生かした、ザクザク食感の「シンプルクッキー」

公式通販では、Rシリーズ4種類、Lシリーズ3種類の計7種類が販売されています。

Rシリーズ|しっとりやわらかな4種類

フレーバー主な特徴
くるみ&スパイス庄内産の規格外大根を約25%使用。ジンジャーとシナモンの香りに、くるみの香ばしさが重なる
カカオ&ラムレーズンりんごジュースの搾りかすを活用。カカオとラムレーズンを組み合わせた味わい
ソルト&キャラメル洋梨ジュースの搾りかすを約25%使用。キャラメルの甘さと塩気を組み合わせたフレーバー
ヨーグルト&フルーツヨーグルトとフルーツを組み合わせた、Rシリーズのフレーバー

Rシリーズの特徴は、規格外野菜や果物の搾りかすを、単なる風味付けではなく、食感を生み出す素材として活用していること。

「くるみ&スパイス」では、大根の繊維が持つ保水力を生かし、独特のしっとりやわらかな食感を実現しています。

Lシリーズ|ザクザク食感の3種類

フレーバー主な素材・特徴
地粉&バター山形県産小麦粉・全粒粉を使用。粉の香ばしさを楽しめるバター風味
クランチ&ココア庄内米のライスパフを使用。ココア生地にアーモンドとライスパフの食感を組み合わせた一品
米ぬか&ごま庄内米の米ぬかを使用。米ぬかとごまの香ばしさが特徴

Rシリーズが「未利用資源の新しい活用方法」を提案するクッキーなら、Lシリーズは「山形の素材のおいしさ」を楽しむクッキー。

食感の違いを食べ比べてみるのもおすすめです。

本間さんに聞いた!初めて買うならどの味がおすすめ?

分福ベイクを初めて購入するなら、どの味を選べばよいのでしょうか。

今回この記事を書くにあたって、本間さんに一番人気のフレーバーを尋ねたところ、意外にも特定の人気商品は決めておらず、お客様一人ひとりの好みを聞いて、おすすめを提案しているそうです。

Rシリーズは個性が強く、Lシリーズは比較的親しみやすい王道の味わいが中心。

そこで本間さんが提案するのが、あえて好みの異なるフレーバーを食べ比べる楽しみ方です。

普段なら選ばないタイプを食べてみると、「意外とこっちの方が好きかも!」という発見があるのだとか。

初めての方は、7種類を1枚ずつ楽しめるお試しアソートを選び、気になる味と普段の好みとは異なる味を食べ比べてみてはいかがでしょうか。

贈答用には、化粧箱入りの6種セットも用意されています。

6種セットは、Rシリーズから「くるみ&スパイス」「カカオ&ラムレーズン」「ソルト&キャラメル」、Lシリーズから3種類を組み合わせた構成です。

「ヨーグルト&フルーツ」も味わいたい人は、お試しアソートを選びましょう。

※フレーバーによって原材料・アレルギー表示が異なります。購入前に商品情報をご確認ください。

分福ベイクのおいしい食べ方|電子レンジで10〜20秒

分福ベイクは、コーヒーや紅茶だけでなく、日本茶との相性も良いそうです。

本間さんによると、ごまやきなこなどの和素材を生かした味づくりも、日本茶に合う理由の一つではないかとのこと。

さらに、今回の取材で教えていただいたのが、Rシリーズの少し意外な食べ方です。

個包装から取り出し、電子レンジで10〜20秒ほど温める方法。

もともとはお客様から寄せられたアイデアで、焼き立てのような、よりしっとりした食感を楽しめるといいます。

普段はそのまま、休日のティータイムには少し温めて。

一つのお菓子で異なる食感を楽しめるのも、分福ベイクの魅力です。

※電子レンジで温める際は、必ず個包装から取り出し、温めすぎにご注意ください。


分福ベイクはどこで買える?酒田の店頭・通販・ふるさと納税

分福ベイクは、公式オンラインショップのほか、山形直送計画や酒田市のふるさと納税などで購入できます。

公式オンラインショップ

分福ベイクの公式通販は、商品の種類が豊富でおすすめです。

フレーバーごとの商品に加え、セット商品や大容量アソート、お試しサイズなどが用意されています。

商品(一例)価格(税込)
お試し7種アソート7枚入り693円
Rシリーズ4種アソート30枚入り2,484円
手提げ箱入り2箱セット1,245円
化粧箱入り6種セット3,680円

ただし、公式通販では、専業スタッフがいないため、発送や問い合わせの返信に時間がかかる場合があると案内しています。

商品によっては発送まで最長2週間程度かかる場合もあるため、贈り物に使うときは余裕を持って注文するのがおすすめです。

冬のお取り寄せにもおすすめ

山形の冬は雪や荒天で外出しにくい日もあります。

本間さんも、11月から3月の冬季には、全国から注文できる公式オンラインショップを活用してほしいと話します。

自宅でのティータイムやおもてなしに、温かい飲み物と一緒に楽しむのもおすすめとのこと。

年末年始の帰省や冬の贈り物にも、分福ベイクを検討してみてはいかがでしょうか。

本竹商店で直接受け取る

公式通販には、近隣の方向けに「直接お受け取り商品」のカテゴリがあります。

酒田市内や周辺に住んでいる人は、通販で注文した商品を本竹商店で受け取る方法も選べます。

直接受け取りの場合、送料はかかりません。

また、酒田市街地(旧八幡町・旧松山町・旧平田町・飛島を除く地域)に限り、配達サービスも行っています。

項目内容
店名本竹商店
住所山形県酒田市船場町1-6-8
営業時間9:00〜17:00
休業日日曜・祝日、冬季(11〜3月)の土曜、年末年始、お盆休みなど(不定休あり)
電話0234-22-0099

※本竹商店は燃料店のため、一般的なお菓子店のような店頭販売とは異なります。直接受け取りを希望する場合は、公式通販の対象商品から注文し、購入時の備考欄に受け取り方法を記入してください。

山形直送計画

山形県内の産品を扱う通販サイト「山形直送計画」でも、分福ベイクを購入できます。

こちらでは、6種類のフレーバーが各6枚入った計36枚のセットなどを販売しています。

価格は1箱5,300円からで、送料込みです(2026年10月確認時点)。

公式通販の7種類とは異なり、山形直送計画のセットは「ヨーグルト&フルーツ」を含まない6種類構成となっているため、購入前に内容を確認しましょう。

酒田市のふるさと納税

分福ベイクは、酒田市のふるさと納税返礼品としても取り扱われています。

酒田市を応援しながら、地域の素材を活用したお菓子を楽しめる方法です。

また、分福ベイクは「ふるさと納税ごちそうアワード2026」の一次審査を突破したことを、2026年9月に公式サイトで発表しています。

今後の審査結果については、公式サイトなどで最新情報をご確認ください。

県内の物産店など

山形直送計画では、分福ベイクが県内の物産店や菓子店などでも販売されていると紹介されています。

ただし、店舗によって取扱商品や在庫状況が異なるため、購入前に確認するのが確実です。

最新情報は、分福ベイクの公式Instagram(@bunbukubake)なども参考にしてください。

シーン別のおすすめ

こんなときおすすめ
帰省のお土産・お歳暮・年末年始のあいさつ化粧箱入りセット
職場やサークルで大人数に配りたい大容量アソート
まずは自分で食べてみたいお試し7種アソート
ちょっとした手土産に手提げ箱入りセット
自宅でのティータイム好みのフレーバーを少し温めて楽しむ

燃料店の跡取りが、なぜクッキーを焼くのか

ここからは、分福ベイクが生まれた背景を紹介します。

「なぜ燃料店がクッキーを?」

その疑問の答えは、地域の歴史と分福ベイク代表の本間圭輔さんの経歴を知ることで見えてきます。

原点は、大学で研究した「捨てられる副産物」

酒田市出身の本間さんは、大学で栄養学を学びました。

卒業論文のテーマはビール酵母。

ビールの出荷時に取り除かれてしまう酵母を「何かに使えないか」と考えていたことが、分福ベイクにつながっているかもしれないと、山形直送計画の取材で振り返っています。

食品の製造過程で生まれる副産物に、新たな価値を見いだす。

この視点は、のちの分福ベイクの開発にもつながっていきます。

お菓子メーカーで、ビスケット・クッキーの開発を約7年

大学を卒業した本間さんは、すぐには家業に入らず、新潟県の食品メーカーに就職しました。

担当したのは、ビスケットやクッキーの商品開発です。

企画や市場調査、試作から、パッケージデザインのディレクション、工場の製造ラインの設計まで。

消費者に届く商品をつくる現場で、約7年間働きました。

燃料店の跡取りでありながら、クッキー開発の専門知識と経験を持つ。

分福ベイクの開発には、この経歴が大きく関わっています。

30歳で酒田へ。友人の畑で見た「大根の山」

30歳で酒田に戻り、燃料店の仕事を覚えていた本間さん。

配達や営業で地域を回るうちに、地域そのものが元気でなければ、地域のインフラを支える商売も成り立たないと感じるようになったといいます。

そんなとき、農業を営む大学時代の友人の畑を訪ねます。

そこで目にしたのは、規格外という理由で出荷できず、山のように積まれた大根でした。

知識としては知っていても、実際に目の当たりにすると衝撃は大きかった。

そのとき、自分の中にあった「お菓子づくりの知識」と「地域の課題」が結びついたと、本間さんは山形直送計画の取材で語っています。

地域の応援が、新しい挑戦を支えた

燃料店がクッキーづくりを始める。

一見すると、本業とはまったく違う挑戦です。

今回、本間さんに家族や地域の反応を尋ねたところ、ご家族には食品製造の専門知識がなかったため、最初は心配しながら静かに見守ってくれていたそうです。

一方、燃料店のお客様や地域の方々からは、温かい応援の言葉が数多く寄せられました。

本間さんは、地元で暮らす中で地域の衰退への危機感を感じているといいます。

かつてなら、本業以外の事業を始めることに心配の声が上がったかもしれません。

しかし今では、地域の方々も同じような危機感を持っているからこそ、新しい取り組みを好意的に応援してくれていると感じているそうです。

燃料店として地域の暮らしを支えながら、お菓子づくりを通じて地域の魅力を発信する。

本間さんの挑戦には、そんな二つの役割が重なっています。


大根の「味」ではなく「力」を使う|発売まで7年かかった理由

規格外の野菜を使ってお菓子を作る。

発想だけならシンプルですが、商品として安定した品質を保つのは簡単ではありませんでした。

壁1:規格外品は、品質がバラバラ

規格外といっても、理由はさまざまです。

育ちすぎて大味なもの、生育不良で硬いもの、傷や虫食いがあるもの。

原料の段階で味や状態がそろわなければ、そのまま使うお菓子の品質も安定しません。

素材の味を生かそうとすれば、結局は原料を厳しく選別することになります。

かといって、ほんの少ししか使わないのでは、未利用資源を活用する意味も小さくなってしまいます。

分福ベイクは、規格外の食材を十分な量で使いながら、お菓子としての品質を安定させることを目指しました。

突破口:大根の「保水力」に目をつけた

そこで本間さんがたどり着いたのが、素材の味ではなく、機能を生かすという発想です。

今回、大根の保水力に着目したきっかけを尋ねたところ、ヒントは普段の料理にあったと教えてくれました。

切り干し大根のように乾燥した状態よりも、風呂吹き大根のように水分を含んだ状態の方が、大根特有の風味がマイルドに感じられる。

この気づきが、開発の大きな転機になったそうです。

本間さんが重視したのは、大根を使うこと自体を目的にしないことでした。

大根を使うからこそ、お菓子の品質が良くなる。

そんな「品質上の必然性」を持たせたいと考えていたのです。

大根には豊富な食物繊維があり、その繊維には水分を保持する性質があります。

その特性を生かすことで、しっとりとした食感が持続するクッキー生地の開発につながりました。

本間さんは、この発想の転換を次のように表現しています。

正規品の「劣化版」ではなく、「価値の再定義」へと転換できた瞬間でした。

規格外の大根を仕方なく使うのではなく、規格外の大根だからこそ生み出せる価値を探す。

分福ベイクの独自性は、こうした商品開発の考え方から生まれているのです。

壁2:しっとりした食感と保存性の両立

ところが、ここで新たな課題が生まれます。

それが保存性です。

一般に、水分の多い食品は微生物が増殖しやすくなる場合があり、長期間品質を維持するには工夫が必要です。

しっとりした食感を保ちながら、全国へ発送できる賞味期限を確保する。

しかも、自社の製造工程内で保存料などの食品添加物や品質保持剤を使用しない。

本間さんは条件を一つずつ変えながら検証を繰り返し、納得できる技術を確立するまでに約5年を費やしました。

2022年には事業再構築補助金の採択を受け、工房を建設。

2023年に本竹商店の菓子部門を立ち上げ、2024年1月には公式オンラインショップを開設しました。

最初のひらめきから、約7年の歳月が流れていました。

7年間の開発で、一度も「やめよう」と思わなかった

商品化まで約7年。

これほど長い開発期間の中で、途中で諦めようと思ったことはなかったのでしょうか。

今回記事を書くにあたり、本間さんに直接尋ねたところ、意外な答えが返ってきました。

実は、「もうやめようか」と思った場面は一度もありませんでした。

本間さんの根本にあったのは、規格外大根を使うこと自体ではなく、「地域の魅力を発信できる商品を開発したい」という思いでした。

もし大根を使った焼き菓子がうまくいかなければ、別の方法を考えればいい。

そんな柔軟な考え方が、長い開発期間を支えていたといいます。

さらに、試作開始から約1年で、時間はかかっても技術を確立できるという確信を持てたそうです。

お菓子メーカーで約7年間、商品開発に携わった経験も大きな支えになりました。

難しい技術開発は、簡単に成功するものではない。

そう理解していたからこそ、目の前の課題に一つずつ向き合うことができたのです。

消せない大根の香りを、逆に生かした

開発当初は、大根特有の香りや辛味をどう抑えるかにも苦労したそうです。

しかし、完全に消そうとするのではなく、ほかの素材と組み合わせて生かす方向へ発想を転換しました。

そこで生まれたのが、ジンジャーとシナモンを使った「くるみ&スパイス」です。

大根のわずかな風味をスパイスと組み合わせることで、味わいの一部として取り入れています。

一見すると意外な「大根入りクッキー」。

その背景には、素材の特性を理解し、商品として成立させるための試行錯誤がありました。


大きいサイズと手ごろな価格にも理由がある

分福ベイクのクッキーは、一般的なクッキーと比べて大きめに作られています。

これにも理由があります。

公式サイトによると、個包装に使うプラスチックを減らすためです。

仮に半分のサイズで同じ量のクッキーを包装すると、包装フィルムを約40%多く使用するという試算が紹介されています。

ただし、本間さんが大切にしているのは、環境にやさしいことだけではありません。

「エコだから」という理由だけでは、商品は長続きしない。

おいしさや便利さ、そして買い続けられる価格。

経済的な持続性もあってこそ、本当の意味でのサステナブルな商品になるという考え方です。

山形直送計画の取材でも、分福ベイクは「環境性」「経済性」「品質」の3つを柱としていると紹介されています。

子育て世代でも親子で楽しめるよう、価格にも配慮しているといいます。

大きなクッキーは、包装材の削減だけでなく、食べ応えや食感にもつながっています。

環境への配慮を、我慢ではなく、おいしさや楽しさと一緒に届ける。

それが分福ベイクの目指す商品づくりです。

「分福」の名前にこめられた、”お福分け”の気持ち

ブランド名の「分福」は、「お福分け(おすそ分け)」に由来しています。

地域の食材をお菓子にして、お福分けのような気持ちで届けたい。

そんな思いがこめられています。

農家さんが育てた素材を、本竹商店がクッキーに変え、それを買った人がまた誰かに贈る。

人の手から手へ、福が渡っていく。

山形直送計画の取材では、「こんな素材があるけれど使えないか」と声をかけられたり、贈り物にして喜んでもらえたという話を聞いたりすることが、活動の支えになっていると紹介されています。

分福ベイクをきっかけに、山形に興味を持ち、実際に訪れる人が増えたらうれしい。

そんな願いも、この小さなクッキーには込められています。


一箱のクッキーが、酒田と全国をつなぐ

本間さんにこれからの分福ベイクについて尋ねました。

これまでには、お客様から「分福ベイクを通じて山形を身近に感じるようになった」という声が届いたこともあるそうです。

また、山形出身の方が帰省するたびに購入し、地元のお土産として知人に贈っているというエピソードも教えてくれました。

本間さんは、地域の未来について、こんな考えを持っています。

私は、何らかの形で「心の繋がり」を持っている人が多い地域ほど、将来にわたって残り続けていくと考えています。

地域の素材を生かして作られたクッキーが、誰かの手に渡る。

その人が分福ベイクを通じて酒田に興味を持ち、いつか実際に訪れるかもしれない。

分福ベイクという一箱のお菓子が、全国の皆さんと山形・酒田という地域をゆるやかにつなぐ一つのきっかけになれたら、これ以上嬉しいことはありません。

酒田の小さな燃料店から生まれたお菓子には、地域の未来を思う一人の作り手の願いが込められていました。


まとめ|酒田のお土産に、”話したくなる”お菓子を

分福ベイクは、酒田の燃料店・本竹商店が約7年をかけて開発したクッキーです。

  • 規格外の大根や果物の搾りかすなどを、味だけでなく食感をつくる素材として活用
  • 自社製造工程内で食品添加物や食品品質保持剤を使わず、最長120日の賞味期限を実現
  • 農業が盛んな山形で生まれる未利用資源を、新しいおいしさに変えている
  • 化粧箱入り6種セットは、おいしいギフトアワード2025のパッケージ部門で銅賞を受賞
  • 公式通販では、Rシリーズ4種類とLシリーズ3種類の計7種類を販売
  • お客様の好みに合わせて選ぶ楽しさや、電子レンジで少し温める食べ方も魅力

今回の取材で印象的だったのは、本間さんが7年間の開発を一度も諦めようと思わなかったことです。

その理由は、規格外大根を使うこと自体が目的ではなく、地域の魅力を発信できる商品を作ることが目標だったから。

「フードロスのお菓子」というひと言では収まらない、技術と考え方の詰まったお菓子です。

酒田でお土産のお菓子やスイーツを探しているなら、ぜひ一度手に取ってみてください。

そして誰かに渡すときには、こんなひと言を添えてみてはいかがでしょうか。

「これ、大根が入ってるんだよ」

分福ベイクについてよくある質問

Q. 分福ベイクはどこのお菓子ですか?

山形県酒田市船場町にある燃料店「本竹商店」が製造・販売する焼き菓子ブランドです。2024年1月に公式オンラインショップが開設されました。

Q. 本当に大根の味がするのですか?

「くるみ&スパイス」では大根を製品の約25%使用していますが、大根の味を前面に出した商品ではありません。大根の繊維が持つ保水力を食感づくりに活用し、ジンジャーやシナモンと組み合わせています。

Q. 分福ベイクは何種類ありますか?

公式通販では、Rシリーズ4種類とLシリーズ3種類の計7種類が販売されています。ただし、化粧箱入り6種セットや山形直送計画の商品など、購入先によってセット内容は異なります。

Q. 一番人気の味はどれですか?

本間さんによると、特定の一番人気は定めておらず、お客様の好みに合わせておすすめを提案しているそうです。初めての方は、7種類を食べ比べられるお試しアソートがおすすめです。

Q. おすすめの食べ方はありますか?

そのままでも楽しめますが、Rシリーズは個包装から取り出して電子レンジで10〜20秒ほど温めると、よりしっとりとした食感を楽しめるそうです。コーヒーや紅茶のほか、日本茶にもよく合います。

Q. 賞味期限はどのくらいですか?

製造日から最長120日です。常温で保存できますが、直射日光や高温多湿を避けて保管してください。購入時点で120日間残っているわけではないため、実際の賞味期限は商品表示をご確認ください。

Q. 添加物は使っていますか?

公式サイトによると、自社の製造工程内では食品添加物・食品品質保持剤を使用していません。ただし、原材料由来の添加物まで一切含まないことを意味するものではありません。

Q. アレルギーはありますか?

公式通販の7種アソートには、小麦・乳成分・落花生・くるみ・アーモンド・ごま・大豆・りんごなどのアレルギー表示があります。商品によって異なるため、購入前に各商品の表示をご確認ください。

Q. 通販で買えますか?

はい。分福ベイクの公式オンラインショップや山形直送計画で購入できます。酒田市のふるさと納税返礼品としても取り扱われています。

Q. お土産用のおしゃれな箱はありますか?

あります。酒田市のデザイナー・rikkoさんのイラストが描かれた化粧箱入りセットが販売されています。化粧箱入り6種セットは「おいしいギフトアワード2025」のパッケージ部門で銅賞を受賞しました。

Q. 大人数に配れるものはありますか?

公式通販には、Rシリーズ4種アソート30枚入りなどの大容量商品があります。職場や集まりで配りたいときにも便利です。

分福ベイクのオンラインショップはこちら

規格外の大根や山形の素材から生まれた、ちょっと不思議で、誰かに話したくなるクッキー。

自分へのご褒美にも、大切な人への贈り物にも。

【ここに公式通販バナー画像を挿入】

筆者:dewa_admin

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