その白い巨人たちの姿、あと何回見られるか分かりますか。
山形・蔵王の樹氷は今、虫の食害の影響で年々小さく、短命になっているといわれています。山形市も「近い将来、今までのような姿が見られなくなるかもしれない」と公式に発信しているほどの変化です。
この記事では、そんな貴重な蔵王の樹氷を実際に見に行くために知っておきたい、見頃の時期からアクセス方法、ライトアップ情報まで、まとめて解説します。
30秒でわかる蔵王の樹氷
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見られる時期 | 12月下旬~3月下旬 |
| ベストシーズン | 1月下旬~2月下旬 |
| 見られる場所 | 蔵王ロープウェイ 地蔵山頂駅周辺の樹氷原 |
| アクセス | JR山形駅から路線バス+蔵王ロープウェイ |
| ライトアップ期間 | 例年12月末~2月下旬(17:00~21:00) |
| 服装の目安 | 氷点下10℃以下を想定した防寒・防風・防水対策が必須 |
※ライトアップの開催日・料金・運行状況は年によって変動します。訪問前に必ず公式サイトでご確認ください。
なぜ今、蔵王の樹氷を見ておきたいのか

参考:https://thegate12.com/jp/article/457
蔵王の樹氷は、「アオモリトドマツ」という針葉樹に雪と氷が幾重にも付着してできています。ところが近年、この土台となる木そのものが弱ってきています。
山形市の発表によると、2013年から2016年にかけて「トウヒツヅリヒメハマキ」という蛾の幼虫が大量発生し、アオモリトドマツの葉を食べて木を弱らせました。弱った木にはさらに「トドマツキクイムシ」が飛来し、幹に穴を開けて枯死させるという被害が広がっているといいます。山形市は、こうした虫害が増えている背景にも地球温暖化の影響があるとみています。
この結果として、樹氷の姿は年々小振りになり、見られる期間も短くなってきていると山形市観光協会は説明しています。「近い将来、今までのような蔵王の樹氷が観られなくなるかもしれない」という表現も、山形市関連の発信の中で実際に使われています。
もちろん、来年すぐに見られなくなるということではありません。林野庁山形森林管理署による試験移植や、産学連携の「アオモリトドマツ再生会議」による保全活動も進められています。ただ、今のこの姿がずっと当たり前に見られるとは限らない、というのは事実です。だからこそ、今のうちに一度、この目で見ておく価値があります。
蔵王の樹氷とは?山形側ならではの特徴

参考:https://www.orion-tour.co.jp/air/fair/tohoku/ski/gelande/zao/
樹氷は、氷点下に冷やされた空気中の水滴(過冷却水滴)が、風に乗ってアオモリトドマツにぶつかり、凍りついてできる自然現象です。氷が「着氷」し、その隙間に雪が入り込んで「着雪」し、さらに固く締まっていく「焼結」という3つの段階を経て、少しずつ大きく成長していきます。
樹氷が見られる場所は、日本国内でも東北地方の一部の山域に限られており、世界的にも珍しい現象とされています。中でも蔵王の樹氷は規模の大きさで知られ、その姿から「スノーモンスター」とも呼ばれています。
同じ蔵王連峰でも、宮城県側の樹氷はとがった形になりやすいのに対し、山形県側では丸くこんもりとした形になりやすいという違いがあります。日本海から吹き込む湿った風の質の違いが、この形の差を生んでいるといわれています。
見頃はいつ?時期による見え方の違い

参考:https://bus-tabi.net/pref/yamagata/yamagata-zaoonsenskiresort/
樹氷は12月下旬ごろから育ち始め、風上に向かって「エビのしっぽ」と呼ばれる小さな氷の突起ができるところからスタートします。1月に入ると徐々に大きな樹氷が立ち並ぶようになり、2月には高さ5メートルに達するものも現れる最盛期を迎えます。3月に入ると気温の上昇とともに、樹氷は少しずつ溶けて姿を変えていきます。
このように、訪れる時期によって見える景色が変わるのも樹氷の魅力です。迫力ある巨大な樹氷を見たいなら1月下旬から2月下旬、成長の始まりを見たいなら12月下旬から1月上旬がおすすめです。
アクセス方法(バス・車・ロープウェイ)

参考:https://www.walkerplus.com/article/1002125/
公共交通機関の場合 JR山形駅の東口バスターミナルから、路線バス「蔵王温泉」行きに乗り、約40分で「蔵王温泉バスターミナル」に到着します。そこから徒歩約10〜15分で「蔵王ロープウェイ山麓駅」です。冬季限定で、山形駅前と蔵王温泉を結ぶ往復バス乗車券とロープウェイ乗車券がセットになったお得な乗車券が販売される年もあるので、購入前にチェックしておくと便利です。
車の場合 山形市内から向かう場合は、東北中央自動車道の山形上山ICから約20分が目安です。蔵王ロープウェイ山麓駅周辺には駐車場も用意されています。冬季は路面凍結が予想されるため、スタッドレスタイヤなど冬用装備は必須です。
ロープウェイでの移動 山麓駅から樹氷高原駅、そして地蔵山頂駅へと2つの区間を乗り継いで向かいます。スキーやスノーボードをしない方でも乗車でき、山頂駅の展望台からは樹氷原はもちろん、天気が良ければ朝日連峰や月山まで見渡せます。運賃は季節や区間によって変わるため、最新の料金は公式サイトで確認してください。
樹氷ライトアップ・ナイトクルーザー号で夜も楽しむ

参考:https://zaoropeway.co.jp/winter/juhyo.php
蔵王の樹氷は、昼間だけでなく夜のライトアップでも楽しめます。例年12月下旬から2月下旬にかけて、17時から21時ごろまでの間、地蔵山頂駅周辺やロープウェイ通過エリアで樹氷がカラフルにライトアップされます。漆黒の闇に浮かび上がる樹氷は、昼間とはまったく違う幻想的な表情を見せてくれます。
さらに近づいて楽しみたい方には、暖房付きの特別な雪上車「ナイトクルーザー号」に乗って樹氷原を巡る「樹氷幻想回廊ツアー」もあります。こちらは事前予約制のため、参加したい場合は早めに公式サイトで予約状況を確認しておきましょう。
いずれも天候によって中止になる場合があるため、当日の運行状況の確認をおすすめします。
服装・持ち物の注意点

参考:https://tohoku365.com/zao-jp/8966
樹氷原周辺は氷点下10℃を下回ることも珍しくありません。防風性・防水性に優れたアウターに、保温性の高いインナーとボトムスを重ね、手袋・マフラー・ニット帽・ネックウォーマーなどでしっかり防寒しましょう。足元は滑りにくい防寒ブーツがおすすめです。ロープウェイの山頂駅周辺は風が強く、体感温度はさらに下がるため、想定より一段階厚着していくくらいがちょうどよいでしょう。
樹氷観賞のあとは蔵王温泉で

参考:https://onsen.community2.fmworld.net/articles/11515/
樹氷観賞で冷えた体を温めるなら、蔵王温泉に立ち寄るのがおすすめです。蔵王温泉は強酸性の硫黄泉で、古くから「石鹸いらずの湯」として親しまれてきました。
温泉街には、「上湯」「下湯」「川原湯」という3つの共同浴場があり、通年6:00〜22:00まで営業しています(入浴料は大人200円、小人100円)。洗い場のない素朴なつくりで、湯治場の名残を感じられる昔ながらの共同浴場です。もう少しゆったり楽しみたい方には、開放的な「蔵王温泉大露天風呂」もあります。
よくある質問
Q. 一番のベストシーズンはいつですか? 一般的には1月下旬から2月下旬が、樹氷が最も大きく成長する時期とされています。
Q. スキーやスノーボードをしなくても樹氷は見られますか? はい、見られます。蔵王ロープウェイに乗車すれば、滑走しない方でも山頂の樹氷原まで行くことができます。
Q. 樹氷は本当に見られなくなってしまうのですか? 明確に「いつまで」とは言えませんが、虫害の影響で年々小振り・短命になっているのは事実です。山形市も将来的なリスクとして懸念を示しています。
Q. 一番シンプルなアクセス方法は? JR山形駅からバスで蔵王温泉バスターミナルへ行き、そこから徒歩で蔵王ロープウェイ山麓駅に向かうルートが一般的です。